2010年9月13日月曜日

小濁と近くの村

フルネームと屋号…覚えることが多い

例えば「太郎さん」…のように”下の名前”で呼ぶのが田舎の特徴。理由は単純で地域に同じ苗字が多いからだ。 小濁ではほぼ「今井」か「山崎」。ここで「山崎さんから教わった」という会話は役に立たない。集落や町内という単位で呼び合うそれぞれの家の名前=「屋号」は小濁でも健在。知らないと会話についていけず、よそ者が溶けこむには時間がかかる。 小濁の現在の住人の屋号は「なか」「十二の木」「よそざいむさ」「大下」「もち田」。ちなみに窯を作っている所は「いけのはた」、古屋を直している家は「えんきょ」というらしい。

小濁の古道を歩く

長い冬が明けたこの春、草や葉が生い茂る前の5月中旬のこと。小濁から板倉に抜ける道を歩いた。そこはもう30年も使われていないという古道。「いくさの神様をまつった社の先を」「少し行くと沼があって」「松を植えた土塚が目印」・・八十をこえる、よそざいむさのじいちゃんが教えてくれた。 それを頼りに、山を越えて小さな沢を渡り、現在廃村となった板倉区の大池新田(やすらぎ荘の上)に抜けることができた。 さらに一本。なだらかな林を抜け田んぼが見事な飯喰沢集落へたどり着いた。 当時これらの古道は、現在は舗装済みの坪山や大濁(妙高市内)と繋がる農道と同様に、近くの村に暮らす人々の生活に無くてはならない幹線道路だったはずだ。 「飯喰沢から吉木を抜け、新井駅まで歩いた」という話を何度も耳にしたが、車が通れないこれらの道は、遠の昔にお役ごめんとなってしまった。

蘇る記憶と交流

飯喰沢で畑をしているお年寄り夫婦と話をする機会があった。 「小濁で活動しています。小濁から歩いて来たんですよ」。すると、「あ〜そうかねぇ。じょんのきのしょ元気かね?さるかんじに縁あるだろ?」。なんのことやら返答できず、後に解った。じょんのきは屋号で十二の木。さるかんじは板倉の猿供養寺。

地図から消えそうな道のたどり着いた先に、わずかに残る人の記憶、そして土地でしか使わない言葉があった。 マイカーやインターネットで”距離感”や”繋がり”がずいぶん変わった。 一方で、ごく身近で無くなっていくものを目の当たりにして感慨深いものがあった。 ご近所づき合いならぬ、ご近村づき合い。新たな交流の時代はやってくるのだろうか、想いをめぐらす。

スクリーンショット(2010-09-13 17.24.10)_r1_c1春にはかろうじて歩ける「旧道小濁大池新田線」と「飯喰沢へ抜ける道」をGoogle Mapに落としてみた。(下記リンク先から”Earth”ボタンをクリックして閲覧)

2010年9月11日土曜日

食という商品のデザイン

 

ファミレスやファストフードで「あれ?こんなもの頼んだっけ?」と思った経験はないだろうか。
歳のせいではなくて(笑:

デザインや広告の仕事をしていると、コピーやDTP技術で、いかに商品をアレンジできるか解る。最近は直売所に野菜を出してる一般の農家さんもそんなテクニックを磨いてきている。デザインで選ばれる事を身にしみて知っているからだ。
東京の浅草にプロの料理人や飲食店関係者が集まる商店街がある。通称「かっぱ橋道具街」。街場のホームセンターや、生活雑貨の店などでも安価で豊富な品揃えがあり要を果たすようになったが、販売員の経験や専門的なアドバイスが聞ける点は、まだまだこの商店街には他と一線を画すものがあるように思う。
そんなかっぱ橋で一昔前、外国人観光客にウケるとニュースになった「食品サンプル」。昔の食堂の店先のケースに必ずと言っていいほど置いてあった。私たちは単に「サンプル」と言ったものだ。サンプルは徐々にリアルになってきたが、作り物と解っているから悪気がなさげ。むしろ茶目っ気がにじみ出ていた。

昔のサンプル。今は写真メニューに他ならない。
大手ファミレスチェーンはこの写真メニュー作りが見事である。背景画像の使い方。飾り罫やアイキャッチ、コンピュータの専門ソフトを巧みにあやつり店のイメージにピッタリ合わせたパーツを感じよく配置している。
色使いは最も神経を使うところではないか。
食欲をそそる赤。高級感の黒。涼し気な水色。新鮮な印象の緑・・。よくもまぁ、こんなに几帳面に並べたなと思わせる万能ネギ。
和食は目で食べると言わんばかり、消費者の潜在意識に訴えそうなデザインのための料理っていったいどうなんだろう。と逆に疑問に思う事もある。
そして、いざ料理が運ばれてきた時のギャップに戸惑うこともしばしば。想像とあまりに違うのだ。食品サンプルと違うのは、現場のすぐ隣に証拠もあるし。

カップメンに、スナック菓子にも似たような思いがある。色やサイズ、質感にシビアな洋服のカタログショッピングだったら即クレームだが、食べ物はちょっと違うようだ。なぜなら、消費者はパッケージデザインにそこまで期待していない。写真メニューは”主観に頼る味”を伝えていないからきっとセーフなのだ。

スクリーンショット(2010-08-02 20.20.55)

最近、アイデンティティのデザイン(PIE BOOKS)という本と、全国の地域ブランド戦略とデザイン(PIE BOOKS)という本を手に入れた。地域を考えるみんなでシェアするためのもの。
商品の良さを確立しながら、ブランディング(デザイン)することの意味に目が向く、これらの本は、

「ただ手にとってもらえばいいというものではない。」「いかに、消費者の信頼と商品をつなぐことができるか。」「作り手にとって"ブランドアイデンティティ"(◯◯がそれである所以)がいかに大切なものなのか。」を学ばせてくれる。地域のブランド化に役立つなら上代●万円は決して高いものではない。(「街学び資料室」開催 in つながりまーけっと 8/7

餃子のメタミドホス混入事件や、食肉業者のひき肉偽装問題は記憶に新しいが、「食品の安全」は日々のテーマとなってしまった。
トレーサビリティに生産地表示義務。10年前はこれほどまで神経質だったろうか?
大量消費のフードビジネスの功罪は認める。それはそれとして、正反対の価値観を忘れないようにしたいと願う思いである。
食べ物は多様化したように見え、次から次へと情報が与えられる。質も量も満足し、目や舌も肥えて来たかのように感じているかもしれないが、それだけに、ホンモノを正しく伝え、本質は何か見極める研さんが必要な現代のはずなのだ。次の時代はどうデザインしていけるだろう。

 

2010年9月3日金曜日

モクズがに

DSC02282

モクズガニ。モズクガニのほうが言いやすい。

さておき、モクズガニを沢山いただいた。今年は沢山とれたそうだ。
素揚げにしたものもいただいいて、食べてみると味噌が濃い。いい味。

小濁は家の周りに沢ガニが居て横穴を掘って悪さをするというリアルな話しを聞いたが、さすがにモクズガニは居ないだろう。
目撃情報求む。

ちなみにこのモクズガニは、同じ新井南部地域の鮎正宗酒造近く、猿橋の川で網にかかったというもの。さすがは清流の里「瑞穂」地区の話。

こんな環境いつまでも残したい。そう思う。